すしのおいしい食べ方
すしの食べ方に茶事のような難しい作法はありませんが、よりおいしい食べ方はあります。
まず、よく悩む問題として手で食べるか、箸で食べるかということがあげられます。
握りずしが誕生したころの屋台では、お客様は立ったまま手ですしをつまんで食べるのが普通でした。それが時代を経るにつれ、カウンターでも椅子に座り、箸を使って食べるようになりました。
ですから、どちらでも良いのですが、すし飯がこぼれず、醤油につけやすいといった食べやすさからすると、手で食べるほうが本来は適しています。
ただし、食べる前に手を良く洗っておきましょう。どちらにせよ、握りずしの場合はタネをはがしてシャリと別々に食べたり、醤油のつけ過ぎは避けてください。
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箸は親指と人差し指ではさみながら2本の間に中指を入れて持ち、上の1本を動かすようにします。
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すしの中ほどあたりを箸ではさみ、横にねかせるようにして持ち上げます。
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ネタが下になるようにして、先のほうに少しだけ醤油をつけます。
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おしぼりで手をよく拭いてから、親指、人差し指、中指を使ってすしを軽くつまみ、横にねかせます。
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ネタが下になるようにして、先のほうに少しだけ醤油をつけます。
すしの中には醤油をつけないで、そのまま食べたほうがおいしいすしがあります。
アナゴやシャコ、ハマグリ、煮イカなどネタの上に煮ツメがぬってあるすしや玉子焼、かんぴょう巻、太巻、伊達巻は醤油をつけないのが原則。これらのすしは煮ツメなどにその店独特の味があるので、そのまま味わうようにします。
また、板前の人がタネに煮きり醤油などをつけて出すすしも、醤油をつけずにそのまま食べます。わからない時は、恥ずかしがらずに板前の人に聞くようにしましょう。親切に教えてくれます。
大阪で発祥し関西方面で今でも大人気の「箱すし」は、醤油をつけないで食べるすしの代表格です。事前に煮たり焼いたり調理したエビ、アナゴ、ケラ(玉子焼)を、木箱の中のシャリの上にのせて強く押し、切り分けたすしのことです。具とシャリの間の中具、シャリにも味がついているので、醤油をつけると本来の味と風味を損なうのです。
また、関西方面で人気のバッテラ、松前すしなど棒ずし系統も、醤油をつけないのが「通」の食べ方です。
ウニやイクラなどの軍艦巻、アジのような生姜やネギなどの薬味がのったすしは、そのままでは醤油がつけにくいものです。こうしたすしの場合は、ガリを少しつまんで醤油をつけ、このガリを刷毛代わりにしてネタの上に醤油をつけて食べる方法もあります。
すしを食べる順序も特に決まりはありません。好きなものから自由に食べていいのですが、白身などの淡白なネタから食べ始めて味の濃いネタに移っていき、最後にかっぱ巻きや新香巻などのさっぱりとした巻ものでしめるという流れが、すしの味わいを一番増してくれます。
握りずしのシャリの大きさは、お客様が好みを注文できます。「大きめに」とか「普通に」「小ぶりに」と言えば、板前の人はその通りに調整して握ってくれます。
すし屋で出すお茶は、口直しの役割があります。すしを食べた後の口の中に残る魚の味を1度お茶で洗ってから、次の新しいすしを味わってくださいという目的から、熱いお茶をたっぷりと出すのです。しかも、お茶そのものの味が濃いと、せっかくのすしの味がまずくなってしまいます。すし屋のお茶には粉茶か番茶が最適なのです。